女性と睡眠時無呼吸症候群
女性と睡眠時無呼吸症候群
今月号では、女性と無呼吸について取り上げてみました。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)・・・この病名を耳にすると太った男性の病気とイメ–ジする方が多いかと思いますが、女性にも
起こります。女性の場合、自覚症状がなく、自分がいびきをかいていると気づかないケ–スが多いようです。
友達と旅行して、初めていびきを指摘されてショックだったと、いう話も耳にします。
男性に比べ、女性はいびきをかく人が少なく、SASになる人が少ないのも事実です。
一般的に日本人男性の9%、女性の3%がSASと言われています。しかし、女性は閉経後の50歳以降にSASの患者が増加し、
合併症である、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも急激に増加します。これは女性ホルモンの減少に原因があるためです。
エストロゲンの減少が肥満を閉経を境に女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少します。
このホルモンは血液中のコレステロ–ル値を下げる働きがあります。
閉経後、エストロゲンは減少すると、血液中のコレステロ–ルが増え、動脈硬化の危険性が増加します。
エストロゲンには内臓脂肪をつきづらくさせる効果があります。
元々このホルモンの多い女性は下腹部や腰回り、太ももなどに脂肪がつく皮下脂肪型肥満(下半身肥満・洋ナシ型肥満)になり
やすいのですが、エストロゲンの減少により、男性に多い、内臓脂肪型肥満(上半身肥満・リンゴ型肥満)が増えてきます。
内臓脂肪の増加は生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症など)を招きやすくなります。
プロゲステロンの減少が無呼吸のリスクに
閉経前後に女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)
が減少します。このホルモンは、脳の呼吸中枢を刺激する作用があり、本来女性はいびきをかき
にくいのですが、閉経前後は大幅に減少するため、男性と同じ割合でいびきをかきやすくなります。
妊娠とSAS
SASは妊娠期の体重増加に伴い、脂肪が上気道を狭くするために生じる事があります。SASの発症は母体より
胎児に悪影響を及ぼしやすくなります。無呼吸になると低酸素濃度血症をおこします。
睡眠中の母体の酸素濃度の低下は、着床障害による不妊や、流産、妊娠高血圧、妊娠糖尿病を生じやすくなります。
妊娠早期にSASの診断や治療を開始することが必要といわれてます。
「いびきで病院に行くのが、恥ずかしいな」というような理由で受診しづらい方もみえると思いますが、放っておけば、
様々な合併症を起こしかねません。様々な不調が治ることもありますから、まずは検査をしてみましょう。