耳のあたりの熱やズキズキとした痛みなどが、急性中耳炎の主な症状です。特にまだ言葉を話せない乳児の場合は、耳を押さえたり引っ張ったりすることで、痛みをを示すときがあります。
治療では抗生物質や消炎剤など、内服薬を中心とした薬物療法や抗炎症作用がある点耳薬の使用で、症状の改善をめざします。耳の奥に膿が溜まると、鼓膜の腫れや強い痛みを引き起こしている場合が多く、鼓膜をわずかに切開して排膿の処置を行います。
特に子どもに多く、発症すると中耳に滲出液が溜まります。耳のつまりや聴こえにくさを感じますが、その自覚症状に気づくのが遅れ、炎症が悪化してしまうケースも多くあります。
滲出液の排出により症状が改善しますが、それでも十分な治療といえない場合は、鼻からオトヴェントという風船を膨らませて耳管を開き、内圧を調整する通気処置を治療として用いることもあります。症例によっては、鼓膜に専用のチューブを入れる手術も検討します。
耳だれを繰り返すようになると鼓膜に小さな穴が開き、三半規管に悪影響を及ぼし、耳鳴りやめまいの症状が長引きます。症状が悪化すると、顔面神経麻痺や髄膜炎の発症リスクが高まります。
耳だれは内服薬の服用や応急処置により止まります。しかし、鼓膜に穴が開いているので、耳に水が入ったり炎症が起こったりすると、耳だれの症状が再び現れます。症状の再発を防ぐには、鼓膜の穴を塞ぐ手術が必要です。中耳にできた真珠腫という腫瘍がある場合、難聴のリスクを下げるためには、できるだけ早期の手術が大切です。
鼓膜にかけて続く外耳道の皮膚に炎症が起こり、耳の痛みやかゆみを引き起こします。さらにかくと、その刺激により炎症が悪化し、耳だれや聴力の低下も懸念されます。長時間のイヤホンの使用やアレルギーによる外耳湿疹により、細菌の感染リスクが高まるため、特に注意が必要です。
脱脂綿や吸引器を用いて耳の内部の清掃を行い、患部を中心に点耳薬の投与や軟膏塗布などを行います。症例によっては抗生物質の投与を続けると、症状の改善の効果が期待できます。痛みが出る場合は鎮痛剤の処方も可能ですので、ご安心ください。
耳垢が溜まると、耳のつまりやかゆみ、聴こえにくさなどの症状が現れます。しかし、耳垢による自覚症状がほとんどないケースも多く、診断のために診察中に除去するときもあります。
顕微鏡で耳の内部を見ながら、皮膚を傷つけないように専用の器具や吸引管を使用し、溜まった耳垢を丁寧に除去します。溜まっている期間が長く、耳垢が硬くなっている場合は、点耳・耳浴両方により耳垢を軟らかくしてから取ります。
自分の周囲で音が鳴っていないにもかかわらず、耳の内側や奥で、「キーン」「ピー」などのような音が鳴っているような感覚を覚えます。
原因療法・抑圧療法・心理療法など、さまざまな治療法がありますが、患者さまの症例によって異なる治療を見極めております。
中耳炎や突発性難聴などの病名が検査から明らかになれば、原因療法としてそれぞれの症例に応じた治療を行います。抑圧療法には鎮静薬や漢方薬、ステロイドホルモンの注入などの薬物療法が中心です。心理療法を用いる場合は、カウンセリングや筋弛緩を促すバイオフィードバックなどの手段を利用し、耳鳴りを自分でコントロールできるようにサポートします。症状が改善するには時間がかかる症例ですが、当クリニックが責任を持って、一人ひとりの患者さまをサポートしてまいります。
外耳や中耳に位置する伝音器が機能せず、大きな音は聞こえても、小さな音は特に聞こえにくいといった症状に悩まされます。なかには、耳のつまりを訴える患者さまもいらっしゃいます。
治療は主に抗生物質を用いた薬物療法ですが、手術や補聴器の使用により症状の改善をめざすケースも多くあります。
内耳の一部が傷つくと音を伝えるのが難しくなり、言葉の聞き取りづらさや音がぼやけて聴こえるなどの症状が現れます。先天性による感音難聴もありますが、加齢や外傷、メニエール病や髄膜炎など、後天性による発症が原因の多くを占めます。
補聴器の使用が効果的ですが、重症化している場合はそれでも、音の歪みや聞こえづらさを感じます。その際は、人工内耳を埋め込む手術を行います。人工内耳により、聴神経への音の刺激がダイレクトに伝わり、よりクリアで自然な音の聞こえ方を実現できるのです。
突発性難聴は、片耳が突然聞こえなくなる病気です。発症すると耳鳴りや耳のつまりを感じ、めまいや吐き気なども起こります。40代~50代に多い症例でしたが、若年層の発症も増えています。
突発性難聴の原因は精神的・肉体的ストレスも多く、まずは安静にして心身をリラックスさせ、ストレスに悩まされない状態を作ります。難聴の重症度によっては、入院をしたうえでの治療が効果的なケースもあります。突発性難聴は現在も、即効性のある治療法は確立されておりません。
治療前には、発生時の状況やこれまでの臨床データを参考に、患者さまのライフスタイルなどをもとに総合的に判断し、一人ひとりの症例に合わせた治療法をご案内して、一緒に病気と向き合って治療に取り組みます。