睡眠時無呼吸と糖尿病の関係性について
睡眠時無呼吸と糖尿病の関係性について
睡眠時無呼吸症候群は様々な合併症を引き起こしますが、今回はその中でも身近な生活習慣病の1つである2型糖尿病との関係性について説明します。
睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の併発
アメリカで行われた研究によると、睡眠時無呼吸症候群の重症度の指標であるAHI(1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数)が高くなるほど、糖尿病の合併率も高くなることがわかりました。特にAHIが15以上の人は、正常な人と比較して糖尿病の発症リスクが1.62倍になると報告されています。
なぜ糖尿病の発症リスクが上がるのか?
2型糖尿病には、血糖値を下げる作用のあるインスリンが効きづらくなる場合と、インスリンの分泌が低下する場合の2つのパターンがあります。無呼吸により低酸素になると、呼吸を促すために交感神経が興奮し脳が覚醒します。交感神経の興奮はインスリン感受性を低下させるといわれており、これにより血糖値が上昇します。また、睡眠時間が短いとインスリン感受性が低下することがわかっており、睡眠時無呼吸症候群の方は無呼吸によって睡眠が分断され実質的な睡眠時間が低下するため、これも血糖値が上昇する原因となります。そして血液中の酸素が低下すると、脳や全身の内臓に悪影響があり、インスリンを分泌している膵臓にももちろん負担がかかります。これがインスリンの分泌量低下に繋がります。このように睡眠時無呼吸症候群と糖尿病には密接な関係があります。
糖尿病の予防、改善
睡眠時無呼吸症候群は糖尿病の発症リスクを増加させるため、CPAPを使用して治療を行うことで糖尿病の予防効果が期待できます。また睡眠時間を増やすことでインスリン感受性が改善したという報告があります。CPAPを使用し無呼吸を治療することで、睡眠の質が改善されれば実質的な睡眠時間も増えるため、糖尿病の改善にも効果があると考えられます。
その他、睡眠時無呼吸症は高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、高脂血症、高尿酸血症などの内分泌・代謝疾患との関連があると言われております。