睡眠時無呼吸症候群と認知症
厚生労働省の発表によると2022年時点で65歳以上の高齢者における認知症患者数は約443万人、軽度認知障害の高齢者は約559万人と報告されています。
軽度認知障害の人は何もせずに放置すると、年間で10~15%が認知症に移行するとされており、認知症の前段階と考えられています。認知症に対する理解を深め、早期発見して早期治療・ケアに結びつけることがとても重要です。
一方、24時間社会の今、人々の生活スタイルは夜型化し、睡眠時間は確実に減少しています。
短い睡眠時間でも日常生活に問題なければいいのですが、実際に睡眠不足によりもたらされる影響は、肥満、高血圧、糖尿病、脳血管疾患、心臓病、精神疾患、認知機能低下など多岐にわたり、看過できるものではありません。
睡眠の基本的な機能として、睡眠中に脳内の老廃物を除去して神経障害を予防し、明日の活動に備えるための脳メンテナンス機構が稼働しています。
認知症は日中の活動性低下が進行するために、睡眠・覚醒リズム障害を生じます。
日中は傾眠傾向となり、夜間に徘徊、せん妄を生じて興奮するといった昼夜逆転状態になることが多くなります。
さらに睡眠時無呼吸などの質の悪い睡眠は、認知症の促進因子となります。睡眠時無呼吸症候群では、発症年齢にかかわらず早期に治療介入を行うことが認知症予防の観点から重要です。
治療の1つである経鼻持続陽圧呼吸療法(CPAP)の長所は重症の睡眠時無呼吸に対して充分な治療効果が得られるだけでなく、眠気改善、神経認知機能に対しても効果が認められていることが知られています。
認知症予防には、発症を防ぐ第一次、早期発見・早期治療の第二次、進行を抑える第三次予防があります。
認知症の第一次予防は、軽度認知障害が対象です。30~50代までの若い世代の睡眠不足や睡眠障害、睡眠時無呼吸に対する早期診断、睡眠教育が第一次予防として重要であることを覚えておきましょう。
参考文献
耳鼻咽喉科としての認知症への対応 睡眠からアプローチする認知症予防
日耳鼻 122: 1475―1480,2019 宮崎総一郎 他



