SASと道路交通法
睡眠時無呼吸症候群と道路交通
危険運転致死傷罪が適応に
2014年6月の道路交通法改正では、居眠り事故の危険性が高くなる、睡眠時無呼吸症候群(SAS)も含む睡眠障
害、てんかん、統合失調症などへの対策が強化されました。
SASは睡眠中に繰り返し呼吸が止まり、何十回、何百回と目が覚めてしまい、熟睡できなくなる病気です。
そのため、昼間の眠気が生じ居眠り事故の危険性が高くなります。SASの患者さんは交通事故の発生が7倍にも増えるというデ-タもあります。
通常のSAS患者さんは慢性的に眠気を感じていて予兆なく突然意識を無くすことはありません。しかし複数回の事
故経験者は重症SASでも慢性的な眠気に慣れてしまい、眠気を過小評価している可能性があります。
自覚症状が乏しくても放置できません。
現在の改正道路交通法では、免許の取得・免許証の更新時に公安委員会は質問票を交付し
・過去5年以内に意識を失ったことがある。
・十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず、日中活動している最中に週3回以上眠り込んでしまったことがある。
・病気を理由に医師から運転免許の取得または運転を控えるように助言をうけている。
などに該当しないか確認します。
安全運転に支障を及ぼすおそれのあるSASやてんかん、認知症などが疑われる場合は必要な報告を求め、暫定的に免許を停止されることがあります。免許更新に際し、医師の診断書を求めて慌てて受診する患者さんもいますが、検査
や治療には時間がかかります。また、居眠り事故の危険はSASだけではなく、SASに合併する疾患や睡眠不足、概日リズムの問題などでも居眠り事故の危険性が高くなります。CPAPを漫然と使用しているだけでは不十分であり、特に自覚症状がなくても定期的な検査(PSG)が必要です。病気とともに、良好な睡眠衛生も大切にしてください。
(DITAL朝日新聞)
- 居眠り運転で発生する事故原因
睡眠時無呼吸症候群の人が、居眠り運転起こした事故の原因は
・一人で運転
・高速道路や郊外の直線道路を走行中
・渋滞(信号待ち)で低速走行中 などとなってます。
★2014年6月 道路交通法 一部改正★
①睡眠時無呼吸症候群による事故も危険運転致死傷罪が適応
危険運転致死傷罪では、人を負傷させた場合は12年以下の懲役、人を死亡させた場合は15年以下の
懲役となります。治療を行っていない睡眠時無呼吸症候群の患者さんが事故をおこすと、飲酒運転を
して交通事故をおこした場合と同様の厳しい罰則が科せられます。
②睡眠時無呼吸症候群の症状のある人が虚偽申告をすると罰則
質問票の症状に該当するにも関わらず、虚偽の回答をして免許を取得、更新した場合は懲役1年以下
もしくは罰金30万以下の罰則が科せられます。
③眠気があるにも関わらず未治療の場合は、免許の一時停止が可能に
④睡眠時無呼吸症候群を診断した医師による任意の届出が可能に
CPAPの十分な治療の目安は1日4時間以上、月70%以上の使用です。